Skip links

本編部門 09 あるがままに生きる

あるがままに生きる

ペンネーム:千みなほ

5歳の頃、世界が変わった。
自我芽生え、人からどう見られているかが、すごく気になりだした。
突然、自己表現ができなくなったのだ。
幼稚園でのこと、卒園の思い出に本を作ることがあり、自分で、絵を描いて、文章を考える、それが突然出来なくなった。それまでは、自由にのびのびやってたはずなのに。
先生がどんな風にするか、聞いても、まったく答えることは出来ず、最後は、困った先生が文章を考えて、仕上げることが、できた。
そこから、ちょっとずつ世界が、雲っていった。

小学校になったら、ますますひどくなる。
親しい友人は幼稚園で一緒だった子一人だけ。
右も左も分からない。
ただ、人について行くだけだった。
幼稚園で一緒だった子とだけ話ができたが、他の子とは話が、出来なかった。
しゃべらない人と思われていると思い
しゃべるタイミングを逃していった。
そして、そのタイミングで思いもしない試練が訪れたのだ。

一年、2年の時、ある当番があった。
毎朝、3人ほど前に出て、話さなければ、いけない当番があった。
それは、順番に回ってきた。
誰が、どこで、なにをした。主語 述語などで、自分自身のことを言うこと。おんなじ事を言っては、ダメとの謎のルールがあった。
何にも思い浮かばないし、もし、思い浮かんだとして、変な風に思われないか気にして結局言う事などできない。
なぜ、プライベートのことを言わなければならないのかと、疑問さえ持っていた。
前の人の意見を真似て、言ってみたり、ウソついて、食べてもないパンを食べてきておいしかったなど言ったりした。
その順番が回ってくる前の日はすごく憂鬱だった。
それでも、がんばって、毎回なんとか、耐えていたのに。
ある日、奈落の底へ突き落とされた。

その日も、例の当番があり、前にでて話した。
その時、一人の生徒が、「同じ事を言っている」と言った。
その時の先生の顔がわすれられない。
指摘されて恥ずかしくてうつむいた。
横目で先生をみると、何にもフォローがなく、その生徒の言うとおりだよと言うように、うなずいていた。
子供からは、なんでしゃべらないの。
大人からは、ちゃんと言いなさい。
ちくちく針で刺されていくかんじだった。

途中から、絶えられなくなり、死んだものとして、生きて行こうと決めていた。
小学校の高学年になると、ストレス最高潮に達していた。
でも、誰にも、親にさえ、きずいてもらえずにいた。
相談などしていないからあたりまえだ。

相談しても、かえってくる答えはわかっていた。
気の持ちようだ。意志が弱い。
もう、言うきにすらならない。
かえって傷つくだけだからだ。

そうして、中学生になった。
がんばって学校に行っていたが、引きずったまま来たので、あいかわらず、しゃべることが、出来ず友だちも作れなかった。
おまけに唯一なんでも話しができる、友人とはクラスが離れてしまい、話す機会ががなく過ごしていた。

2年生になって、行けなくなった。
それまで、なぜ、行けていたかというと。行かないと、どうみられるかとか、親に失望されるとか、近所の目などを考えてたからだと思う。

行く、意外の選択はなかった。

行かない選択をするきっかけは、クラスメートが言ったひとことだ。
「よく学校これるね」
そのひとことで、目が覚めて、なぜ、がんばっていく必要があるのか分からなくなり、行くのをやめた。

当然のごとく親から失望の眼差しを向けられたが、それ以上に、外に出ることの方がつらかったのだ。

そのまま結局卒業するまで、学校に行くことはなかった。

高校だけは行きなさいと言うので、高校受験をして、せっかく合格したのに、
たった、二日で、リタイヤした。
親から、さんざん泣かれ、怒鳴られ、学校の先生も迎えに来てくれたが、結局
やめてしまった。

正直、ほっとした。行かなくていいんだ。よかったと思う気持ちのほうが強かったのだ。

親とは、しょっちゅうぶつかって、やつあたりしたりもしたが、だんだん、理解してくれるようになった。

休んでいる間、好きなゲームと出会った。
学園シュミレーションゲームなのだが、ゲームのなかで、友達をつくる、部活をする、今まで、してこなかったことが、できるゲームだった。

生きるよろこびをみつけた。
空想の世界で、ストレス発散していた。
ゲームをしたいから、生きていることができた。

そして、夢もみつけられた。
ゲームの声優さんに勇気づけられたから、声の仕事をしたいと思って、高校だけは行っとかないとなと、通信制の高校に行くことができるまで、回復した。

そこは、いろいろなタイプの人が通ってきて、同じような思いをした人もいる学校だったので、卒業は何とかできた。
 
 
ひきこもり状態だったけど、声優の勉強をしに行くこともできた。
 
 
ただ、これで、外にでるのが、怖くなくなったわけでは、ない。

働く事。

これは、未だに解決している訳ではない。
いろんな所を転々と渡り歩いている。
 
 
今この瞬間も、消えてなくなりたいと思う日もある。

だけど、夢を持ってがんばって動いていたこと、ひきこもってゲームをずっとしてたこと、1番大事な思い出で悔いなんてひとつもないし。1番幸せな時間だったと思う。

悔いが残るとしたら、世の中のあたりまえになろうともがいて、
みんなと同じようにならなくてはと、ずっとそればかり考えていたら、

気づいた頃には、時間だけが過ぎていた。
その時間はかえって来ない。

でも、気づいたことがある。時間をかけて分かったこと、それは、がんばるところを間違えてたこと。

できないことよりできる所。
そこに、時間をかけるほうがよっぽど、良いと思う。
 
 
 
でも大丈夫、まっ何とかなるさ。

適当にすること、できないことを、受け入れたら
世界に光がさした。

これからも、生きて行く。
適当にやっていく。

これが、あるがまま生きることだから。

 




Ready forへ参加

応募作品へのコメント投稿、ポストカード、作品集書籍などご希望の方は“Ready for”で『リターン』をご購入ください!

ログインして続きを読む!

既に閲覧の権利をお持ちの方は以下からID、パスワードでログインの上、御覧ください。




Opinions

Join the Discussion

Return to top of page