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短編部門 08 いつかこの場所を離れる

いつかこの場所を離れる

ペンネーム:泉皐月

引きこもりの私はいつも家族に責められてばかりで
辛い。いや、そうでなくても大人しく口下手な私のことを
怒りバカにしてきた。両親も姉も気の利かない動作の
緩慢な私に腹を立てその都度叱ってきた。自分達の
失敗は棚に上げ私の失敗の数々を引き合いに出しクドクド
ネチネチ責め続ける。だが私もいつも黙ってわきまえて
聞いているだけじゃない。時には反論もする。けど、

「お前は身内が有難く指摘してあげているのに
何故ムキになって怒るの?だから世の中渡って
いけないんだ」

さらに、

「だからお前は社会不適合者なんだ!その態度じゃその先
何も成功しないよ!」

との返り討ちに合う。この人達は「自分は間違っていない。
この出来損ないを導いてやっている」との認識だろう。この
正しい認識の人達は引きこもりやニート、無職といった
労働に携わっていない者をどんどん叩いて構わないと勘違い
している。もうダメ。耐えられない。限界。

家を出よう。
でもどうやって?
働いてない人に部屋を貸してはくれないだろうし。
それか住み込みバイトか。

以前寮付きバイトに応募しようとしたら家族に止められた。
理由を聞いたら「家から通って休日には家の手伝いをしろ」
との私には自由を与えない答え。それを機に私の求職意欲は
消えていった。今さら住み込みバイトとかしたくないし
どうすればよいのやら。思い悩んだりネットで検索したりする
内にあるお悩み相談サイトを発見した。引きこもり関連の相談も
受け付けているので早速、

「当方引きこもりニート、就労圧力をかけてくる家族と折り合い
悪い。家出たい」

の投稿に対する答えが、

「まずは住み込みバイトをやるべき」

まあ正論だけどそれを求めてはいない。何というかこう、

「仲間数人を集めて自営業でもやって家借りる」

これが私が求めるもの。実は自分の中で答えが出ている。
あとは勇気のみください。

 




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Opinions

  1. Post comment

    支援者や親は何かしらの答えを押し付けることが多いのかもしれませんね。良かれと思って。
    答えはそれぞれの中にあって、あとは一歩踏み出す勇気だけ。
    安心安全あっての探索行動。そんな支援者でありたいと思いました。

    Permalink
  2. Post comment

    いろいろあって、自分の中に答えがもうある、それをすでに自覚している、というのが面白かったです。勇気のみください、というのも、お願いしているのにちょっと贅沢な感じも良いと思いました。

    Permalink

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