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作品5 郷愁(ペンネーム:まや)へのコメント(4件)

<冒頭100字>

携帯メールの着信音が鳴る。友達からだといいな。なんだ携帯の会社からのお知らせメールか…。
こんなことが毎日のように何度も繰り返される。
病気で寝たきりになって数年。家族や医療関係者以外の人と顔を合わせるこ

<コメント>

ラッパ吹きさん

昨今、人との繋がりの思い出はSNS越しに、視覚的な思い出はスマホカメラ越しに、という時代になりました。本作品を読んでいると、先の「◯◯越し」での記憶の保存は正確だけど、温かさや愛おしさはないなぁ、と気付かされます。あえて指摘しますと、現状の俯瞰から精神論に帰結させる際に、もっと立体感があるといいなと思いました。青年の他にもう1人、現状を肯定する人物が登場すると物語が立体的になり面白いのかな、と勝手に考えてみました。青年が向かった先に何が起こるのか、物語の展開が楽しみにです。

 

HIGA

非常に繊細で上場性豊かな、それこそ”記憶”そのもののような儚さが魅力的な作品である。特に視覚的な美しさは印象的であり、良質なジュブナイルや短編アニメーションの持つそれと比較することもできるだろう。やや感傷的に過ぎる部分はあるが、抑えた筆致で描くことでリアリティを維持しでなんとか全体をまとめ上げることに成功しているし、反対にクライマックスでは敢えて赤裸々な内面をあらわにすることである種のエクスタシーを表現している、とも評価できる。
そして主人公は記憶の中で両親と、あるいは自身の幼少期との再開を果たすが、彼はこの行為で罪と引き換えに何を得たのだろうか。彼だけではなくこの世界の人々は皆、過去とのつながりを失っているのだろうか。失われたものは常に美しく、選ばれなかった選択肢は常に魅力的なものである。その背徳感がこの作品の読後感を幅広く、複雑なものにしている。

 

SAMEGAI

冒頭の丁寧な語り口に、まず好感がもてる。
最後の結末部分の、哀愁と相半ばする優しい読後感も、個人的に好みである。
欲をいえば、前半に比べて後半があっさりした感じがあり、もう少し後半の描写に重点が置かれるとなおよかったかもしれない。
次回作にも期待しています。

ひかもり

今の情報技術の進歩を考えると近未来的とも言えるSF作品であるが、テーマのわかりやすさを逆手に取ったように、SF世界の詳細は省略され、展開の速度が上がっているところが超短編作品という規格に合っていて面白い。
テーマ的に先の読める話でもありながら、情報の出されるタイミングもテンポが良く心地良い。
終盤の恍惚感。それを覆す最後の一文の落差が小気味良い。
SF世界の設定がやや説明的で表現が硬く、練られきっていないようにも感じる。テーマ、世界観、展開は非常に面白いので細部に磨きをかけるとより鮮やかな作品となる気がする。

 

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