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応募作品9

冬の自由

ペンネーム:上田一郎

秋の夜のしずけさに響く、虫の音に聞きいっていたので、彼等に気がつくことが出来なかった。彼等は靴を履いたまましのびより、暴力じみたあらあらしい音をたてて、ドアをあけた。僕は不意の訪問者に体を硬直させた。




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Opinions

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    所長さんと主人公のやりとりを見ていると、当然ながら人の心の奥まではなかなか分かり合えないんだろうと思います。ただ、それでいい気もします。自分に心を遣ってくれる人がいて、それを糧に、最終的には自分自身で道を決めていく。部屋に閉じこもっていた時間が長い分、自分の道を決めるまでに大きな葛藤があるんだなと思いました。そのことが良く伝わってくる描写でした。

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  2. Post comment

    描写の抽象度と取り扱っている内容、分量のバランスがちょうどよく、完成度の高さを感じる作品。引きこもりたちの寮(?)の所長が、ステレオタイプな悪役として描かれていないところも、個人的に好感を抱きます。
    欲を言えば、後半の「独白」の部分は、もう少し小分けに描写すると、作品としての完成度がより上がったようにも思う。次回作も期待しております。

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  3. Post comment

    引きこもりでいることの苦悩と自由。引きこもりをやめて就職して生きていくことの苦悩と自由。それらのどれにも重心を偏らせることなく、率直な心境が描かれていると感じました。
    西の空とは死の暗喩だと思いますが、「思った」とだけ書かれているのは、本当に思ったということを過不足なく表現しているように感じました。
    この苦しみが「生きる」という苦しみなのだろうと共感を覚える作品でした。

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