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文学大賞 短編部門05 どこまでも自分勝手にサヨウナラ 作者 泊木空

文学大賞 短編部門05

作者:泊木空

改行
改行

改行
 
 
 
三行助走をつけたから
今からお前を殴りつける
重さ、からっぽで痛みはなし
感性任せの衝動性
生きてるだけで死にそうな
苦しさ疚しさ笑い種
後ろに並んだ病名の
空想頼みの慣性が
紙ぺら二枚の生きる理由

では肉体は?
肉体は
紙で売られ
紙で買われ
神に噛み殺されるなんて
そんな冗談を言わねばならない程に
肉体はただ、肉体が犯した罪によって
肉塊となった

喉越し狂いのわたくしは
あなたが傷つく言葉なら
喜んで飲み込みます
言葉はとげとげしていて
喉の奥が切り裂かれていくのは
たまらない快感です
心は犠牲になりますが
脳がそれだけ喜ぶのなら
僕は自分を殺しましょう

さあ何十行と助走をつけた
飾られたSOSしか拾われないなら
俺は詩に、体と心を高く売ろう
うんと高くつけてやろう
削られた俺の命の輝きが
SOSにきらめきを与える
惨めで哀れで生きる価値も危うい俺の
みすぼらしく意地汚いSOSを
誰か
誰か拾ってください

読みやすさに気をつけたから
今から俺を見せつける
ただ苦しい
息苦しい
生き苦しい
隙間隙間に夜が入って健全をもろもろにさせる
僕が好きなあの人にとって
僕は出来のいいコレクション
なんだか全部壊したい
けれど
優しいって言われたから
優しいって呪いの言葉を
かけてくれたから
俺も僕も何もできないで、緩慢な自殺に向かう
だから君はそこで見ていて
俺と
俺のあなたへの愛が
くたばるところを見ていて
死に際に
誰よりも輝くから
あなたがどこに居ようと
距離も道理も摂理も超えて
あなたは輝きを目にするだろう
信頼してるよ
愛してるよ
君ならきっと見つけてくれるはず
そして最後に
僕の言葉の亡骸を抱いて
涙を流してくれるなら
思いを馳せてくれるなら
僕の価値のない生誕と
僕の価値のない終焉が
確かに意味を与えられて
僕は少し浮かばれた気持ちで
君にトラウマを植え付けるよ

 




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