文学大賞 短編部門01
作者:久保田毒虫
僕とお兄ちゃんは、兄弟揃って引きこもりだ。
でも僕は引きこもりが悪いことだとはこれっぽっちも思わない。引きこもりの何がいけないんだろう。
お父さんもお母さんも何故かいつもお兄ちゃんばっかりを責める。いつまでも引きこもってないで、早く仕事を見つけて働きなさいって。
「今の時代、働くことが全てじゃないよ。ただ生きてるだけでいいんだ。生きてるだけで素晴らしいことなんだ!」って僕は一生懸命に言うんだけど、お父さんもお母さんも僕の話に耳を傾けてくれないんだ。
お兄ちゃんばっかり責めるな! 責めるなら僕を責めろ! お兄ちゃんは繊細で、いつも優しくて、自慢のお兄ちゃんなんだぞ! あんたらに何がわかるんだ……。
……俺が親に怒られている時、猫のミケは何故かいつも俺のそばに寄って、親に向かってニャーニャーと鳴く。まるで俺を庇うかのように……。
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最後の一文でどんでん返しをするとともに、ふだんの視点がいかに偏っていたかを気づかされます。
Permalink生きていけないのが問題なのであって、ひきこもること自体は責められることではない。そうですよね……。