文学大賞 短編部門08
作者:オルレア
何故かは解らないけれど、確かに昔よりも今の方が楽しいわね。
だけど、近頃物覚えが悪くっていやだわ。ああ、そう、物忘れも酷くって。
それでも、今の方が楽しいわよ。記憶力を失う代わりに、編み物が出来るようになったんだから!
・・・
彼女はわたしのあこがれ。
でも、わたしは彼女のようにはなれない。当たり前かなぁ。編み物なんて二日で挫折しちゃったし。
でも、彼女と一緒にいるとなんだか気持ちが楽になるの。
だから、もう少しだけ元気でいたいなぁ、って思ってる。
わたしは彼女みたいにコーヒーも紅茶も詳しくないけど、もっともっとわかるようになって、共有された感覚でお話を聴けるようになったらいいのになぁ、って。
彼女が弾く素敵なヴァイオリンの伴奏をピアノで出来たらいいのになぁ、って。
欲張りかもしれないけど、不思議と毎日が楽しいの。
もっといろんなことが出来たらいいのになぁ。
Opinions
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二人(?)の視点。
Permalink物事ができなくなる過程は悲壮に満ちたものとは限らず、変化を楽しめる心があれば希望に満ちたものとなる。
セキセイとアヴェニュー。一介の鳥好きとして、どちらがどんな登場人物なのかを知りたく思います。