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文学大賞 短編部門01 「いつか誰かに殺されても」 作者 たいらのら 

引きこもり文学大賞 短編部門01

作者:たいらのら

肩をはずしてしまいたい
なにもかもが嫌になってしまった
楽しいはずのあそびが仕事になってしまった夜
いつか誰かに殺されるだろう
愛されることを求めすぎたからだ

逃れようのないことから目をそらすのはやめた
せめてその誰かが誰でもいいように
すべての人を愛そうと思う
相手役はまだわからないけれど
「きみになら殺されてもいいよ」
最後のセリフは準備できている

もう充分あがいたはずだ
みんなとおなじ服を着て
おなじご飯を食べて
おなじタイミングで笑った
もう気づいただろう
人真似では人になれないということ

夜ごとに赤がふえていく
暴走する自己添削に痩せ細らされてしまった
持たざるものは奪われることもないというのに
身の程しらずの欲望にからだを蝕まれてしまった
この病に特効薬はない
いつか誰かに殺される
ただひとつ 対症療法は
すべてを愛してしまうこと

うららかな小鳥の歌声が響く朝
ざわめきだす心
世界の終わりを告げるラッパもきっと美しい音色を奏でるのだろう
覚悟だけがうそ寒く漂っている




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