引きこもり文学大賞 短編部門17
作者:深山 愛結
深夜によく辛いラーメンを作った。途中でウィンナーと卵とチーズも追加した。爆弾カロリーなのは一目瞭然で、うわー太っちゃうと思いつつもつい食べてしまう。
「食欲は人間の三大欲求のうちの一つだった気がするし、まぁ、人間の私に逆らえるはずがないよな」
なんて独り言をぶつぶつつぷやきながらラーメンができるのを待った。ついでに待ち時間に自分の部屋に戻ってプロジェクターのセットもした。こんな夜中に食べたら明日顔が浮腫むだろう。でも大丈夫。だって明日も引きこもるもん。こうした考えのもと淡々とおいしくないはずがない深夜ラーメンのできあがった。暗い部屋で一人、気になる映画をおかずにラーメンを鍋から直食いする。そんな今は私にとってこの上なく幸せな時間である。ふかふかのベットと、人をダメにすると噂のクッションを行き来しながら幸せの映画タイムを堪能した。少し小腹が空いたとキッチンに戻って棚を開けると、例のやつがいた。
今日のために買っておいた塩味のポップコーンだ。コンビニ大手三社のポップコーンを食べ比べした中で、一番好きなやつをしっかり買ってきた。ちょうどいい塩加減がたまらなくおいしい。好きなことをしながら、好きなものを食べ、そして夜更かしというちょっぴりの特別感がまた私の幸福度を倍増させる。映画が終わって深夜三時を回っても、急いで寝る必要はない。映画の余韻に浸る時間がある。映画終わりのあの不思議な感覚でいられる時間がある。そんで、ひと段落したら、ぐっすり寝て、明日はお昼の十二時くらいに起きようか。いや、十時間は寝たいよな。そういえば冷蔵庫にバターあったし、明日はクッキーでもつくろうか。いや、パウンドケーキもいいな。
私はこんなひきこもり生活が大好きだ。幸せの時間がずっと続いたらそれは幸せではなくなってしまうのかもしれないけど、それでもこの時間がずっと続いて欲しいと思ってしまう。