文学大賞 短編部門05
作者:豊田直輝
世の中の人当たりの悪さに感情が下向く
いつものように落ち込んで並木通りを歩いていた
枯葉が舞う季節となりて
この枯葉と共に私もどこかへ飛んで行けたなら
悩み苦悩の感情に浸らなくてもいいのでは
1枚の枯葉はやがて道路に飛び出て
車の下敷きになっていく
その時に思わずゾッとした
自らで自らの命を落とすことを考えてしまったんだ
想像以上の出来事であると思ったんだ
枯葉を自分に例えてしまったら
行き着く先は闇であることが分かってしまった
ちょっと一息つこう
自販機でコーヒーを買って
ベンチで飲みながら
コーヒーとは関係のないことを考えていた。
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ふとした瞬間、死に惹かれる感覚。
Permalink社会的にほめられたものでないと判っていても、魂がそちらに引きずられることもある。
目に焼き付いたおぞましい甘美。あらゆる苦しみが終わるという誘惑。
考えまいとするほど埋め尽くされる思考を、今日も何かで上書きして、忘れたふりをしていくのでしょう。