Skip links

応募作品19

いちばんのきみへ

ペンネーム:はる

いちばんのきみへ

あるまちに、いちばんおいしいおみそをきめるたいかいがありました。
おみそにつかうものは、こうじ、しお、みず、まめの4つだけです。
なかでも、まめはきめてで、みそのうまみは、まめのよしあしできまります。
ことしもまた、まめたちははりきって、それぞれのまめをじまんしあっています。

「おーい!みんな!ぼくをみてくれよ!
おおきさからいって、おいしいおみそをつくりだすのはぼくがいちばんさ。」
むねをはって、いちばんおおきいまめのマメゴロウがいいました。

「うふふ。いちばんはわたしよ。わ・た・し!
だって、ぴかっとまぶしいほどのツヤ!
いちばんはわたしにきまりね!」
クルッとまわって、マメコさんはいいました。

「まぁまぁみんな!みそのきめてはコクのふかさだよ。
コクがあるのはぼくだよ!」
じしんたっぷりのマメオくん。
そんなマメオは、たくさんたいようをあび、きれいなみずがあたえられ、
えいようたっぷりのつちでそだちました。

たいかいには、たくさんのまめたちがさんかしています。
やれ、わがものがおに、さかんにはりあっていました。
そのなかで、ひとりためいきをついているまめがいます。

マメスケです。
(じしんないなぁ。たいかいにもでたくないよ。ハァーーー。)と、
また、ためいきをつきました。
そのとき、ドンッとだれかがマメスケにぶつかりました。

「あら、ごめんなさい。だいじょうぶ?マメスケくん。」
たのしくおどっていたのは、スラっとスリムなマメラさん。
「どうして、ぼくのなまえをしっているの?」

「さぁ、どうしてかしら。わたしマメラ。よろしくね。」
マメラは、とぼけたようすです。

 

 

「きみは、うたをうたって、くるくるおどったりして、チョーよゆぅー。
いちばんのじしんがあるんだね。」
マメスケはひねくれていいました。
でも、マメラはやさしく、ほほえんでいいました。
「だれがいちばんになってもいいわ。
たべてくれるひとが、げんきになってくれたらね。」

(きれいごといっちゃって。いちばんになりたいくせに・・・)
マメスケはすぐさま、そうおもいました。

さぁ!たいかいのはじまりです!
いちばんをせいするのは、はたして、だれなのか!
しんさいんもしんけんです。
「それでは、はっぴょうします」
しかいしゃがいいました。
トゥルトゥルトゥルトゥルトゥル、
「いちばんおいしいおみそにえらばれたまめは!」

ピッカーン!
「マメスケくんです!」
ポカッーン。
マメスケはなにがおきたのか、まだ、わかっていません。
そのとき、「うわぁ!やったぁー!マメスケくんがいちばんだ!」
と、じぶんのことのようによろこぶこえがしました
あの、おどっていたマメラさんです。

「マメスケくん!おめでとう!ほんとうにおめでとう。」
ぎゅうーっ。
マメラさんは、マメスケくんをだきしめました。
マメスケは、少しだけことのじゅうださいさがわかってきました。

(えっ、ぼくがいちばん?ほんとに?いちばん?・・・
でもマメラさんはどうして、そんなによろこぶの?ぼくがいちばんなのに・・・)
マメスケは、ゆうきをだしてきいてみました。

「マメラさん、くやしくないの?」
「もちろん、くやしいわ!でもあなたがいちばんにえらばれてうれしいの!
だって、ことしあなたはたいふうで、つちはめちゃくちゃ、きおんもさがって
わたしたちまめがそだつには、きびしいかんきょうだったでしょ。
でも、あなたはふんばって、たえて、のりこえたのよ!
だれよりもたいへんだったわ。だから、あなたがいちばんでうれしいの!」

マメスケはなんだか、ふしぎなきもちになりました。
うれしいきもちと、おどろきのきもちと、すこしさみしいきもちがこんがらがって、
そのばで、たちすくみました。オドオドオド、モジモジモジ・・・
でも、しばらくして・・・

マメスケは、スッとかおをあげ、マメラさんのもとへかけよりました。
「これ、あげる。」
「えっ、どうして?」
マメスケは、金のメダルをマメラさんにかけました。

「ぼくにとって、きみのこころがいちばんたいせつだってことがわかったよ。
だから、あげる。きみがほんとうのいちばんだよ。
ありがとう。ありがとう。」

そういって、マメスケはマメラさんをそっとやさしくだきしめました。




Ready forへ参加

応募作品の続きを閲覧ご希望の方は“Ready for”で『リターン』をご購入ください!

ログインして続きを読む!

既に閲覧の権利をお持ちの方は以下からID、パスワードでログインの上、御覧ください。




Opinions

  1. Post comment

    一番になることよりも、嬉しかった事が「見ていてくれる人がいた」「自分以上に喜んでくれる人がいる」という事を感じた時だったんですね。確かに、ものすごくうれしいですね。
    子どもに接する親のように感じました。

    Permalink

Join the Discussion

Return to top of page