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文学大賞 短編部門27 おどれ 作者 ダイタレイジ

引きこもり文学大賞 短編部門27

作者:ダイタレイジ

「ひきこもり」ってくくりはさぁ、属性としては脆弱じゃないかね。そんなもんアイデンティティにならんって。
俺はひきこもりだけど根明で楽観的だし、毎日運動してるし、ゲームとか知らんし。まぁ、漫画は読むけど。ジャンプ限定で。
自殺なんて一度も考えたことないもの。痛いの苦しいの、ホント勘弁。
自分のことそんな嫌いじゃないし。いや、何ならナルシスト入ってるかもな。毎日鏡に向かってキメ顔しとるからね。
つーか、街を歩く俺の姿を見てひきこもりだと見抜ける奴、いんのかね。
んー要するに、ひきこもりったって色々でしょ。そりゃ全体的な傾向はあるんだろうけどさ。
拙者はひきこもり、ぼかぁひきこもり、アタシもー、って、自分でレッテル貼ってどーすんの。
レッテル貼られんのもイヤだけど、自分で貼るのも、なんだかなぁ。自虐的っつーか、それ笑えねーわ。ナンセンス!
まぁ、いいから運動したまえよ。楽になっから。
あとは、笑って誤魔化す。ゴマカシマヤカシ、うむ、これぞ、人生。醍醐味ってやつだ。
ほら、結局、大事なことって別に「対・引きこもり専用」のものではないわけよ。俺もあんたも同じ人間なんだって。
あ、そうそう。楽になる為には歌う、踊る。これ人類の叡智ね。合法的かつ天然モノのお薬だもの。きっと翼、授かっちゃうだろうね。しかも、タダ。
ちなみに、踊る際にはファンクやテクノなんかよりも、クセナキスの電子音楽がおすすめよ。
 
 
 
 
・・・・という話をつい先日、私は夢の中で酔っ払いに聞かされたのでした。その人の容姿は殆ど思い出せないのですが、3・40代ほどの男であったことだけは覚えています。場所は場末の安酒場のような場所でした。(夢の中とはいえ)酔っ払いに絡まれて甚だ迷惑ではありましたが、起床時の気分が悪くなかったことは面白かったです。そして、この世は苦しみで満ちている、というブッダの教えを何故か思い出し、身に沁みた朝となったのでした。

 




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