蹄のあと
ペンネーム:市宮はじめ
辺りは薄暗く、小雨が降り続けている。
只管に続くのは長い赤茶けた一本道。
左右には陰鬱な木々が広がり、往来を拒む。
逃げなければならない。
後ろから追ってくるのは黒い牡馬。
荒れ狂う軍馬の様に、巨躯から伸びた強
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ペンネーム:市宮はじめ
辺りは薄暗く、小雨が降り続けている。
只管に続くのは長い赤茶けた一本道。
左右には陰鬱な木々が広がり、往来を拒む。
逃げなければならない。
後ろから追ってくるのは黒い牡馬。
荒れ狂う軍馬の様に、巨躯から伸びた強
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疾風怒濤という言葉が思い浮かびます。
Permalink馬に追われる、というところに切迫感に加えて詩情を感じました。
物語というよりは悪夢がそのまま描かれているようでした。
この緊迫感…!なぜ逃げなければならないのか?どこへ逃げようとしているのか?一切説明はなくとも、雨の冷たさ、獣の臭い、葉音、そして近付く足音…それらがすぐそこに感じられるような細かな描写に思わず息を潜めて「逃げて…!」と祈りたくなる。素晴らしい短編だと思いました。
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